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新潟地方裁判所 昭和53年(わ)210号 判決

(一)本店所在地

両津市大字加茂歌代二〇三番地一

被告法人

株式会社長沢製材所

右代表者

代表取締役 長澤三吉

(二)本籍

両津市大字加茂歌代二〇三番地

住居

右同所同番地一

会社役員

被告人

長澤三吉

大正一五年一〇月三一日生

右被告人らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中尾勇出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人株式会社長沢製材所(以下「被告会社」という)を罰金五〇〇万円に、被告人長澤三吉(以下「被告人長澤」という)を懲役八月に各処する。

但し、被告人長澤に対し、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人長澤の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、両津市大字加茂歌代二〇三番地一に本店を置き、製材業を営むものであり、被告人長澤は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人長澤は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、

第一、昭和四九年五月一日から同五〇年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二九、六九三、二〇八円で、これに対する法人税額が一一、一三七、七〇〇円であつたのにかかわらず、同年六月三〇日同県佐渡郡相川町大字三町目浜町二五所在の相川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、〇六六、九〇〇円でこれに対する法人税額が二八七、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一一、一三七、七〇〇円と右申告税額との差額一〇、八五〇、一〇〇円を免れ、

第二、昭和五〇年五月一日から同五一年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二〇、八八六、五〇五円で、これに対する法人税額が七、四五七、五〇〇円であつたのにかかわらず、同年六月三〇日前記相川税務署において同税務署長に対し、所得金額が一、九五三、六二四円で、これに対する法人税額が五〇五、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度におけ正規の法人税額七、四五七、五〇〇円と右申告税額との差額六、九五二、〇〇〇円を免れ

第三、昭和五一年五月一日から同五二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一七、一九九、四三〇円で、これに対する法人税額が六、〇〇〇、八〇〇円であつたのにかかわらず、同年六月三〇日前記相川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八三、八七六円で、これに対する法人税額が四〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六、〇〇〇、八〇〇円と右申告税額との差額五、九六〇、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、被告人長澤三吉の当公判廷における供述

一、被告人長澤三吉の検察官に対する供述調書七通及び大蔵事務官に対する質問てん末書

一、長澤ムツ(三通)、長澤昭四郎、遠藤五郎、池田行雄、山本三郎の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の告発書

一、相川税務署長作成の昭和五三年三月二〇日付証明書

一、長澤ムツ作成の証明書

一、大蔵事務官作成の「簿外売上金額及び雑収入調査書」、「簿外預金及び受取利息調査書」、「個人収支調査書」、「未納事業税調査書」、「価格変動準備金繰入額等調査書」、「寄附金の損害不算入額調査書」と題する各書面

一、押収してあるBメモ帳一綴(昭和五三年押第七七号の符号一九)及び無表題ノート二冊(同号の符号二一、二二)

判示第一、第二の事実につき

一、押収してある売掛帳B一綴(同号の符号一七)及び製品メモ帳一綴(同号の符号一一)

判示第一の事実につき

一、押収してある製品メモ帳一綴(同号の符号一〇)及びB売上リーフ(四九年度)一綴(同号の符号一四)

判示第二、第三の事実につき

一、押収してある製品メモ帳一綴(同号の符号一二)及び売掛帳Bノート一綴(同号の符号一八)

判示第二の事実につき

一、押収してある五〇年度売上帳〈B〉一綴(同号の符号一五)

判示第三の事実につき

一、押収してある製品メモノート一冊(同号の符号一三)、売掛帳一綴(同号の符号一六)及びBメモ帳一綴(同号の符号二〇)

(法令の適用)

被告会社及び被告人長澤の判示第一ないし第三の各所為は、刑法六〇条、法人税法一五九条第一項(被告会社については更に同法一六四条一項)に該当するが、被告人長澤については、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条第二項により、所定罰金の合算額の範囲内で、被告人長澤については、同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、その所定刑期範囲内で、被告会社を罰金五〇〇万円に、被告人長澤を懲役八月に各処し、被告人長澤に対し、情状により、同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により、これを被告人長澤に負担させることとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 富塚圭介)

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